USCPA (米国公認会計士) による、個人確定申告書 (Form 1040) &FBAR作成、節税&二重課税回避コンサルティング、ペイロールスキームの構築等

Form 8938 – 特定外国金融資産報告書の提出要件

Form 8938 概要

Form 8938 “Statement of Specified Foreign Financial Assets (特定外国金融資産報告書)” は、FATCA (Foreign Account Tax Compliance Act; 外国口座税務コンプライアンス法) に基づいて2011年度よりIRSへの提出が義務化された新しいフォームです。 

FBARとほぼ同様、Form 8938の目的は米国外の金融資産を米国当局に開示することにあります。ただし、FBARとは異なり、Form 8938 は確定申告の一部であり、Form 1040といっしょにIRSに提出することが求められます。またFBARとForm   8938は内容はかなり似通っているものの、それぞれ別々の当局へ提出されるものであるため、一方の提出によってもう一方の提出が免除されるといった性格のものではありません。なお、配偶者それぞれが提出する必要のあるFBARとは異なり、Form 8938は確定申告の一部であるため、確定申告が夫婦合算にてなされる場合、Form 8938も一つのフォームで両配偶者全ての資産をカバーすることになります。

Form 8938提出対象者とは?

FBARと同様、米国籍保持者、永住権保持者、税法上の米国居住者、および税法上の米国非居住者で内国歳入法6013条あるいは7701 条 (IRC 6013(G) or (H) or IRC.7701(b)(4)) に基づいて居住者としての申告を選択した者が、該当する場合、Form 8938の提出が必要となります。 F-1やJ-1 ビザ保有者 (Form 8843提出が必要) や、“Closer Connection”ルール適用が適用される(Form 8840の提出が必要)者は、一定要件を満たす限り、例外としてForm 8938提出が免除されます。一方、米国国内税法(”Substantial Presence Test”あるいは183日ルール)上居住者とみなされるものの、租税条約上の“Tie Breaker”ルールによって米国非居住者となることを選択した場合には、例外扱いは認められず、該当する場合には、Form 8938の提出が必要となります。

Form 8938 の提出要件

 

 

独身

夫婦合算申告

夫婦個別申告

米国内居住の場合

暦年中いずれかの時点における最高残高

$75,000

$150,000

$75,000

年末時点の残高

$50,000

$100,000

$50,000

米国外居住の場合

暦年中いずれかの時点における最高残高

$300,000

$600,000

$300,000

年末時点の残高

$200,000

$400,000

$200,000

暦年(1月1日から12月31日)中のいずれかの時点における残高合計、あるいは年末残高が上記金額を超えた場合、米国外保有資産の全ての開示が必要となります。

署名権

FBARと異なり、署名権を持つ口座について、署名権者がForm 8938において開示義務を負うということはありません。  

Form 8938 にて開示対象となる資産とは?

以下の資産について、Form 8938にて開示する義務があります。 (*) Form 8938にて開示対象となる口座・資産の定義は、FBARによる定義と似ていますが、同じというわけではありません。定義が異なる部分については、下線で示しています。

      • 銀行等口座-預貯金・当座・貯蓄・財形・譲渡性預金(CD)・定期預金等含む

      • 株式およびその他証券口座-投資・ブローカー口座・ミューチュアルファンド・その他プールされたファンド等含む

      • 口座に預け入れしていない、米国外株式や証券 (*)

      • 米国外パートナーシップ持分 (*)

      • その他投資口座-商品先物、オプション口座等含む

      • 確定給付型年金

      • 確定拠出型年金

      • 雇用者の管理する口座-社内預金、退職金、ストックシェアプラン、ESPP、持株会等含む

      • その他年金

      • 満期型保険

      • Grantor Trust を通じて海外に口座や資産を保有する場合

以下は、Form 8938での開示対象外です。

      • 米国外社会保障・社会保険-厚生年金含む

      • 法的主体を通じて間接的に保有する口座 (*)

      • 米国系銀行の米国外支店にある口座 (*) - 多くの場合、日本にある米国系銀行は、あくまで日本法人であり米国銀行の支店ではありません。例えばCITI Bank Japanは米系ですが、日本法人であるため、その口座はForm 8938による開示対象です。

      • 米国外株式や証券に投資している米国内ミューチュアルファンド

      • 直接保有する米国外固定資産

      • 米国外の法的主体を通じて保有する米国外固定資産

      • 直接保有する米国以外の通貨

      • 直接保有する貴金属

      • 直接保有の芸術品・アンティーク・宝石・車・その他蒐集品等

Form 8938ペナルティ

Form 8938での開示を行わなかった場合、$10,000のペナルティが課せられます。さらに、開示請求にもかかわらず開示を怠った場合、30日毎に$10,000、最高で$50,000のペナルティが課せられます。また、開示対象資産からの所得が未計上であった場合、未計上所得に対するペナルティは、過少納税額40%の重課税や、意図的な未計上の場合には75%の重課税等、別個に計算されます。さらに、刑事罰の可能性もあります。

資産未開示に関する時効は3年ですが、未開示資産からの未申告所得が$5,000を超える場合には、資産未開示に関する事項は6年に延長されます。

お気軽にお問い合わせ下さい TEL 03-5403-4639 平日9:00-17:30

Copyright © SEKIYAMA U.S. TAX CONSULTING LLC All Rights Reserved.
Powered by WordPress & BizVektor Theme by Vektor,Inc. technology.